
奈良随一の迎賓館、菊水楼
明治二十四年創業、百二十余年の歴史を紡ぐ料亭『菊水楼』。 圓成寺の部材を譲りうけ、登録有形文化財にも指定された建物で、古都奈良の年中行事にあわせた老舗ならではの会席料理を振る舞う料亭です。また和食「菊水楼」に加え、欧風レストラン「菊水」の洋食、本格江戸前うなぎ「うな菊」と、3つレストランを展開、それぞれの磨かれた味わいを提供しています。宴会・会議や、結婚式場としても歴史を重ねる名門です。
抹茶の多様な味わい方を探索
和食ニーズの高まりや抹茶スイーツの人気を背景に、国内外から再評価される「日本茶」。近年急激に食材として活用されるようになった「抹茶」。山政小山園は、そのような市場の変化に対して、宇治に自園を持ち、栽培から製造まで一貫して行う総合茶問屋として、様々な「美味さ、ありき。」(当社スローガン)を追求する取り組みを行っています。意欲的なパティシエや和菓子職人、シェフや料理人など、名門調理師学校や料亭との協力により、日本茶と料理のティーカップリングの研究や、上級な抹茶を使用した料理・甘味の開発などをテーマとしています。今回は、「菊水楼」東口勇市氏、塩見さやか氏とともに、抹茶を使用した会席料理のメニュー開発を行い、お二人を取材しました。
鯛の道明寺蒸し 抹茶淡雪のせ(東口氏)
何度もお茶を点てて飲み続けるうちに、気泡の中に香りが閉じ込められていることに気付きました。気泡を皆様の口元に届くまで保つためにメレンゲに辿り着き、鯛の淡泊な味わいに抹茶の香りを添えるようイメージしました。香りを活かしたい料理ですので、より香る【小倉山】を使用しました。
甘鯛の抹茶味噌掛け焼き(東口氏)
お茶と甘味は定番の組み合わせです。特に今回合わせた白味噌は砂糖が貴重な時代に甘味料として用いられ和菓子にも多く使用されました。白味噌の味わいに負けない【さみどり】を使用した抹茶味噌を作り「お茶を食べてもらう」をテーマに考案しました。
抹茶水ようかん(塩見氏)
抹茶の味がメインに来るようできるだけシンプルなものを作りました。竹や笹の青々しい香りと、【小倉山】の香りがよく合うと思います。奈良も感じていただきたく思い、奈良の名産の苺を添えました。
枠にとらわれないお茶の楽しみを
お茶、特に抹茶には、嗜好飲料や食材として以外にも、歴史や伝統文化、空間や美術、美容や健康など多面的な魅力が存在します。山政小山園はこれからも、枠にとらわれない、お茶の多様な魅力を引き出すような、取り組みや発信を行なっていきます。