抹茶7つの違い

一口に抹茶といっても、品質と価格は様々です。山政小山園は、飲用から食品加工用まで17のグレードの抹茶を製造・販売しており、その価格は上下で50倍以上違います。ここでは、抹茶と粉末緑茶や、抹茶の中出の品質や価格を左右する7つの違いをご説明します。

※なぜ充分な肥料や手間をかけ栽培におけるコストを投資すると、品質の高い美味しい抹茶になるのか、は美味しい抹茶とはをご覧ください。

01:抹茶と粉茶と
粉末茶の違い

抹茶は碾茶(覆いをした茶園で収穫し、蒸した後揉まずに乾燥させたもの)を石臼や機械で粉砕したものです。日光を遮り、旨味成分テアニンがカテキンに変化するのを防ぐため、特有の覆い香とともに苦渋みが少なく旨味があります。覆いにより葉は葉緑素を多くつくろうとするため、抹茶は粉末茶と比較して冴えた濃い緑色になります。

粉茶は玉露や煎茶の荒茶製造工程で、破砕されて発生するものと、荒茶を精選する工程で、切断・選別するときに出る粉を集めたものです。淹れるときは細かな網の茶漉しを使用し抽出します。

粉末茶は、煎茶などの茶葉を粉砕したものを指す場合と、抽出液を濃縮し乾燥させた(フリーズドライ)インスタントティーを指す場合があります。インスタントティーは抽出液成分を原料としているため、完全に水に溶ける点が異なります。

抹茶
粉茶
粉末茶

02:メーカーによる
違い

抹茶はメーカーにより製法や原料が大きく違うわけではありません。しかし代々受け継がれる製造や審査技術(ブレンド技術)に伝統や基準の違いがあり、それぞれが美味しい抹茶を追求した結果、同じ価格で比べたとしてもメーカーごとに味向きが違ってきます。

一方で、販売価格に対してどれだけ高価で品質の良い原料を使用するかが、同一価格の商品の品質に大きな影響を与えます。

コストのかけ方としては、販売価格における原料価格を高める、つまり経費を抑え、高価な原料(品質の高い原料)を使うことで、同じ販売価格でも高い品質の美味しい抹茶を提供することができます。

山政小山園は創業以来、茶の製造卸に専念した合理的な組織や業務により、営業経費や広告宣伝費を圧縮したスリムな企業体を継続しています。それにより、同じ販売価格で最大限よい原料茶葉を使用し、美味しい抹茶づくりに努めています。

03:品種による違い

茶樹には何種類もの品種があります。品種によって生物学的性質が異なり、味や香りにも違いがあります。抹茶は単一品種で販売されることは少なく、味や香り、色のバランスが取れるよう、原料茶葉をブレンドするのが通常です。

三代小山政次郎と宇治で最初の品種茶園を開いた平野甚乃丞氏。
「オグラミドリ」「アサヒ」「サミドリ」「コマカゲ」等の優良品種の育成に成功。

04:産地による違い

抹茶の産地には、京都の宇治、愛知の西尾が有名です。その中でも宇治は古くから碾茶を生産し、栽培・製造・加工技術の研究がなされてきた歴史があります。気候・土壌など自然条件が適し、また上級品である手摘み碾茶の生産も多いため、他の産地と比較し相対的に高価で美味しい抹茶原料葉が生産されています。

また、全国の茶産地で栽培される茶の樹は、その多くが、「やぶきた」と呼ばれる品種ですが、京都では碾茶(抹茶の原料になる葉)に適した固有の品種が複数栽培されており、その味わいに特徴があります。

現在、京都以外の各産地の栽培や加工技術は大きく向上し、産地だけで抹茶の優劣を判断することが難しく、また京都府産の抹茶であることが、必ずしも美味しいとは限りません。

京都府産の抹茶にもグレードの違いがあり上級品もあれば、下級品もあります。また、京都府産であるということだけで付加価値がつき、価格に対し味がともなわない原料がないとは言い切れません。

山政小山園は基本的な考え方として、価格に対し最大限美味しい抹茶をつくることを信条としており、「宇治抹茶」(京都府産)であること自体にこだわって、原料の仕入れや抹茶の製造を行っておりません。

05:飲用抹茶と
食品加工用抹茶の違い

抹茶メーカーが独自に定める線引き

飲用抹茶及び食品加工用抹茶の原料や製造方法などに明確な定義はなく、その品質も抹茶メーカーにより様々です。次項で述べる食品加工性能を付加した抹茶以外、抹茶メーカーは品質の順に並べた抹茶に対し、苦渋みの強さなどによって、「そのまま飲用できる飲用抹茶」「抹茶の風味付にけなら使用できる加工用抹茶」という線引きを独自に行っています。

例えば、ある会社で食品加工用として販売されている抹茶があったとします。それと同じ品質と考えられる抹茶が、他社では飲用として販売されている、またその逆もあるでしょう。

食品加工性能を付加した抹茶

抹茶は、その粒子の細かさによりダマになりやすく、光で退色しやすいなどデリケートな素材です。そのためユーザー(抹茶商品開発担当者やパティシエなど)から、その欠点を改善した抹茶のニーズが寄せられることがあります。そのため、食品加工性能を付加した抹茶が存在します。

例)
・退色の防止を目的としたクロレラなどによる着色抹茶
・撹拌性を高めたペースト状の抹茶
・振りかけた時に濡れたようになる「泣き」を防ぐため油脂を添加した抹茶

しかし、添加や加工によっては抹茶本来の風味を損なう場合もあります。

山政小山園は、茶道界を中心に飲用の上級な抹茶を愛好いただいてきた歴史もあり、添加物を一切使わない100%自然由来の抹茶づくりを続けているため、そのような食品加工性能を付加した抹茶の製造・販売は行っていません。

食品加工用途に、食品加工用抹茶でなくてもよい

「食品加工用途には、食品加工用抹茶でないといけない」と誤解されている場合があります。食品加工性能を付加した抹茶を除けば、苦渋みなどそのまま点てた時の飲みやすさ等で各社が独自に線引きしたに過ぎません。

より抹茶の風味を大切にした商品開発には、味や香りのよい飲用の(食品加工用と名前のついていない)抹茶を使用する方がよいでしょう。

当社では食品加工用途として、飲用抹茶茶銘の「槇の白」以上もお勧めしています。

06:手摘みとハサミ(機械)刈り

茶の葉の摘採方法には2種類あります。人の手で新芽だけを丁寧に摘んでいく手摘みと、お茶刈鋏という刃物を使用するハサミ刈り(現在ではカーブしたバリカンのような機械を使う方式)です。

ハサミ刈りを行う場合、茶の樹本来の、枝ぶりが広がった自然な樹形では、上手く新芽の部分だけを刈ることができません。定期的に刈り込み、バームクーヘンのように古い葉と新芽の層に分かれるように樹形を整えます。手摘みに比べ、摘採人件費が格段に安く、時間もかかりません。

しかし、デメリットもあります。美味しい抹茶の原料となる茶葉を育てるためには、肥料をしっかりと与え、被覆による遮光を十分に行うことが必要です。しかし、ハサミ刈りができるよう樹形を整えることは、茶の樹に負担をかけるため、与えられる肥料の量や遮光に限界があります。また、手摘みに比べ一部品質の悪い葉(古葉など)が一緒に収穫されてしまう可能性があります。

手摘みは、宇治を中心に自然のままの樹形(自然仕立て)の茶園で行われます。樹形を無理に整える必要がなく茶の樹に負担をかけることがありません。なので、手摘み園では、より多くの肥料を与え、より強度の遮光ができるため、特に高級な抹茶の原料を生産することが可能です。また、熟練の茶摘みさんの手によって摘むため、美味しい新芽だけを選択して収穫できることも、高い品質の抹茶をつくることができる理由です。

07:石臼挽きと機械挽き

碾茶を粉砕し、粉体の抹茶とする加工方法には、石臼挽きと粉砕機を使用した機械挽きがあります。

石臼挽きは、伝統的な粉砕方法ですが、生産量が限られます。一度に大量の粉砕を行える粉砕機の登場により、生産量の向上がなされました。

機械挽きは、粉砕コストが安価ではありますが、粉砕過程で熱負荷がかかるケースがあることから、抹茶の品質が落ちるとも言われ、グレードや用途に応じた使い分けが効果的だと考えられます。