お茶を愉しむ

茶園だより
2022.3.14

【茶園だより】自園(覆下園)の改植

老木となった茶樹を、新しく。

老木となった茶樹の改植

 山政小山園は、江戸初期より自園を持ち茶作りを続ける製茶問屋です。2021年から2022年にかけて、当社本社工場すぐの「西頭茶園」の改植を行いました。改植とは、その字の通り、老木を抜き新しい茶樹に植え替えることです。この園の茶樹は、前回の改植から60年以上経過していました。茶樹は、根元近くから切り落としても再び新たな樹体が生長し、栽培を継続することができます。これを「台刈り(だいがり)更新」と言います。しかしこれにも限界があり、茶樹がある程度以上老齢化すると樹勢が低下し、夏の暑さに弱くなる、病虫害からの回復が遅くなる、などの問題が出てきますので、状況を見て、このタイミングで改植することにしました。

2021年5月の一番茶摘採(茶摘み)後に抜根

 当社自園では、毎年の品質を高めるため、一番茶のみを摘採しています。二番茶以降を摘採すると茶樹が弱ってしまい、翌年の一番茶の品質に影響があるためです。今回の改植においても、茶摘み後の6月に、抜根という茶樹を重機で根ごと抜き去る作業を行いました。長い間、当社と共に歩んでくれた茶樹の抜根作業は胸を痛めながらも、新しい樹を迎えるため晴天の中淡々と行われました。

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2022年3月に定植を実施

 茶の実を蒔いて茶樹にする方法もありますが、実の遺伝子は一つ一つ異なるので、この方法だと様々な品種の茶樹が同じ茶園で生育することになり、高度な茶園管理をして高品質の茶を生産するには不向きです。一方、茶樹から枝を切り取り、これを1~2年かけて育苗し、その苗を茶園に植える(「定植」する)と、元の樹と同じ遺伝子の茶樹ばかりの茶園(「品種園」)にすることができます。
 近年では、生産農家は育苗業者から、定植しやすいように育てられた苗木を購入することができます。今回は、「セル苗」と呼ばれる、写真のような苗を購入しました。若干コストがかかりますが、定植後の活着率が高い(植えた苗木が枯れにくい)と言われています。
 今回選んだ品種は「さみどり」です。「さみどり」は、宇治の平野甚之丞氏と当社三代小山政次郎が共同で品種選抜した、手摘みの碾茶や玉露の生産に適した品種です。香味品質と摘採適期の長さにおいて特に優れており、宇治やその周辺で栽培されている手摘み碾茶の大部分を占めます。

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DSC01080-1.jpgDSC01046-1.jpgまずはスクスク、そして美味しく育てよ!

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