お茶を愉しむ

茶園だより
コラム
2018.5.1

2018 茶園だより【前編】「若葉艶やか、新茶の季節」

山政小山園の自園が新緑に

宇治の春、到来。

 桜の開花や暖かい日差しなど、春の訪れを感じる機会は様々ですが、宇治の本格的な春の到来を告げるのは、京都府立茶業研究所の「萌芽(ほうが)」宣言です。今年2018年は2月下旬以降の気温が暖かく、降水量も充分でしたので、平年より2日早い4月3日となりました。山政小山園は、江戸初期より茶の生産家として、その栽培・製造技術を累代受け継いでいます。現在も自園として覆い下茶園を持ち、碾茶(抹茶の原料葉)の製造のための茶葉を育てています。今年の当園の茶摘みは5月2日に始まり、地元宇治の大勢のお茶摘みさんとともに、現在最盛期を迎えております。

茶摘みさんここから.png

丁寧に手摘みした茶葉をすぐに。 

 熟練のお茶摘みさんによって手摘みされた瑞々しい新芽は、みるみるうちに籠にたまっていきます。摘んだ生芽は摘採後時間が経過すると、酸化によって品質が変化してしまいます。そのためすぐに碾茶工場の生芽冷蔵庫に運びます。生芽を積んだトラックが茶園と工場の間を行き交う風景は、この時季の茶生産地ならではのものです。生芽は工場にて24時間以内に蒸して乾燥させ、碾茶荒茶へ加工します。この碾茶工場は、生芽の入荷があるこの時季だけしか仕事がありません。つまり一番茶の茶摘みが始まる4月末〜5月初頭から、茶摘みが終わる5月末頃までの約一ヶ月だけの稼働です。稼働期間であっても、天候が優れず生芽の入荷がない日は休止、逆に収量の多い日は、夜通し碾茶炉の火を落とすことはありません。

蒸し器.png蒸した葉.png吹上.png

ひと足早い、新茶の抹茶をお届け。

 今年の5月の摘みたての新芽だけを使用した「新抹茶」を5月16日より販売開始しております。この季節だけの爽やかな味わいを、ぜひお楽しみ下さい。通年販売の抹茶は、毎年6月1日より新茶のブレンドを上級品から順に出荷しております。次号後編では、碾茶炉での乾燥から審査・合組を経て、石臼挽きまでの工程をご紹介します。 (後編に続く)

新抹茶缶.png
新抹茶 30g缶入 希望小売価格 1,620円(税込)

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