お茶を愉しむ

コラム
2019.7.20

宇治茶手もみ製法の継承

元文3年から伝わる手揉み製茶の、技術研修会に参加

宇治茶手もみ製茶技術(宇治製法)

 手もみ製法は、元文3年(1738年)に宇治田原町の茶農だった永谷宗圓が発案。従来の茶に比べ色、香り、味ともに優良だったため、全国に広まり、今日の宇治茶手もみ製法に発展しました。その貴重な技は、宇治市の無形文化財として、宇治茶製法技術保存協会によって保存され、受け継がれています。

(出典:「宇治茶手もみ製茶技術」 京都府茶業会議所ホームページ)

伝統技術の継承

 山政小山園は、宇治茶製法技術保存協会(吉田利一会長)の開催する技術研修会に、継続的に参加しています。宇治市内の京都府茶業研究所で開かれるこの技術研修会には、生産家、茶問屋、茶小売店など茶業に従事する人材が集まります。当社からは今年、3名の社員が技術を学んできました。

DSC_3714-1.jpg研修会が開かれた京都府茶業研究所

「焙炉(ほいろ)」を使い、丹念に

 宇治製法は、摘み取った茶葉の新芽をセイロで蒸し、冷やして「蒸し露」を取り除いたものを専用の台「焙炉(ほいろ)」で仕上げていきます。焙炉は下部で藁と墨を燃やし、作業面の温度をおよそ60度にして製茶を行います。ベテラン技術者が若手参加者に丁寧に指導しながら、参加者は「色・味・香り」の優れた茶葉づくりと技術の習得・継承に汗を流しました。

DSC_3669-1.jpg焙炉を熱する藁と墨

戦後は機械に代わられた、製茶の原点。 

 茶葉をかき上げ、振り落としながら水分を飛ばす「茶切り」や、横に転がし強く揉む「横まくり」、板を使って揉み、茶の形状を丸く細く伸ばすことで、色艶と香気を良くする「板ずり」など、全行程はおよそ6時間もかかります。

DSC_3868-1.jpgDSC_3675-1.jpg 

 宇治製法の技術は発案後、優れた茶を生み出す手法であることから全国に広まり、戦前まで茶の製造を担ってきました。その後、機械製茶が取って代わるわけですが、その技術が途切れたわけではありません。宇治製法の伝統技術は、現在の機械揉みにも受け継がれています。機械製茶は、手揉みの工程をベースに機械化されているのです。

手揉み昔.png戦前の山政小山園 玉露製造場の様子

 江戸初期から茶園を持ち、宇治の高級茶を中心に茶の製造に携わってきた当社も、その手もみ製法の技術を担ってきた歴史があります。社会や市場、製造方法など様々な変化を受け入れながら、今後も当社は「美味さ、ありき。」の信条のもと、その伝統と技術、そこから生み出される香味豊かな茶づくりに努めてまいります。

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